自己破産者が住宅ローンを組めるのか?

 

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けーいちです。 このブログを書き始める際に、皆さんにお伝えしたかったことの1つが今回のテーマである「自己破産者が住宅ローンを組めるのか?」です。

既に私のプロフィールなどをお読み頂いている方であればお分かりの通り、答えとしては「組むことが出来る」となります。しかも、私の場合多くの記事で「10年以上経過している場合に可能」と言われている10年どころか5年11ヶ月で審査を通すことが出来ました。今回は、事業等に失敗し自己破産してしまった後、マイホームを持つために頑張っている方の希望を与えるべく、私の経験を含めお伝えします。

 

こんな人にオススメ
  • 自己破産を経験した方
  • 過去に住宅ローンが通らなかった方
  • 支払いの滞納等をしてしまった方

 

 

そもそもなぜ自己破産者はローンを組みにくいのか

いきなりですが、あなたは仮にお金を貸すビジネスをしている方だと想像してください。お金を貸すビジネスは、貸した人から金利を上乗せして返済してもらうことで利益を得ています。当然返済がされなければその利益が得られません。

そんな中、ある方がお金を貸してほしいと言ってきました。その人の年収や借り入れ理由などを見る限り特に問題はなさそうですが、念の為周りの同業他社にこの方の情報を聞いたところ、過去に自己破産をしていて、貸していたお金は全額回収出来ずに終わった、と聞きました。

あなたはこの方に、お金を貸したいと思いますか?

 

かなり当然のことですが、どんな理由があるにせよ、過去に返済を免責(返済しなくて良いことにしてもらう)した方や、返済が遅れたことがある方にお金を貸すことはリスクでしかなく、どの金融機関もこのような方にはお金を貸してくれないでしょう。

これが、自己破産者がローンを組みにくい要因です。

 

しかし、自己破産をした事実を隠しておけば、当時関わりを持っていなかった金融機関からであれば借りられそうですよね?ところが、そういうわけにもいきません。

金融機関もそれぞれがリスクを背負うことがないよう、貸し付けに関連する情報を全て共有する仕組みを作っています。その共有する仕組みを担っているのが「個人信用情報機関」になります。

各金融期間は、個人信用情報機関に問い合わせを行うことで、対象者の借入状況や返済状況などに問題がないかを確認できる様になっているのです。

個人信用情報機関と信用情報

個人信用情報機関について

個人信用情報機関は主に3つの機関に分かれます。

信用情報機関名 取り扱う信用情報
CIC(株式会社シー・アイ・シー) クレジットカード会社の信用情報
JICC (株式会社日本信用情報機構) 消費者金融の信用情報
KSC(一般社団法人 全国銀行協会) 銀行や信用金庫の信用情報

例えば、アコムやプロミスといった消費者金融で借り入れをした場合、JICCにその記録が登録されます。

また、住宅ローンなどを取り扱う金融機関の場合、基本的には少なくともCICとJICCの情報については間違いなく確認をするようです。(銀行などの場合はKSCを含む3つ全てを確認しているはずです)

取り扱われている信用情報

これらの個人信用情報機関では下記の情報が扱われています。

  • 個人情報(氏名・住所・年齢等)
  • 借り入れ等の申し込み情報
  • 契約内容(契約した商品・契約金額・借入限度額など)
  • 支払状況(毎月の利用額や返済額、返済状況など)
  • 割賦販売法に関する情報(割賦残債額や返済状況など)
  • 貸金業法に関する情報(利用限度額や商品の契約内容など)

これらのうち、自己破産をした場合や、支払いを滞納した場合などの情報として支払状況などの項目に記録が残ります。これらの支払い遅延や免責等についての情報は、いずれの個人信用情報機関についても「異動」という言葉で扱われて記録されています。

これらの記録が一生残り続けるかというと、そうではありません。個人信用情報機関ごと、項目ごとに情報の保存期間は定められていますが、異動の情報については、CICとJICCでは5年間、KSCでは10年間保存されます。

このため、自己破産をした場合に限らず、クレジットカードの支払いを延滞した場合などでも、その期間によっては異動情報として扱われます。

このため、過去5年以内に延滞をしたことがある場合や自己破産をした場合などは、住宅ローンが通らないとなるわけです。

自己破産者が住宅ローンを通すためには

自己破産した人の多くは、事業等に失敗し銀行等の金融機関からの借り入れの返済が続けられずに自己破産に至っているケースが多いかと思います。

そのため、上記の説明の通り、銀行等で借り入れていた契約に対し異動情報がついたものがKSCでは10年保存されています。そして、住宅ローンを申し込む先も一般的には銀行に申し込むことが多いため、結果的に「自己破産者は10年以上経たないと審査が通らない」という話になっています。

しかしながら、冒頭でお伝えしたとおり、私は6年弱の経過時点で住宅ローンの審査を通しています。この審査を通すために有効だったと思うことを紹介したいと思います。

免責決定から5年間はおとなしく

前述までの通り住宅ローンの審査では間違いなくCICやJICCの情報は参照されます。そのため、異動情報が一度付いてしまったら5年間は住宅ローンを組むことは不可能と言えるでしょう。また、扱われている信用情報に申し込み情報もあります。申込情報は、基本的には半年間ほど記録が残ります。ですので、5年間に住宅ローンを申し込みした場合、その記録が残りますので、5年経過したあとでも、申込みをしていた記録が残っている場合、そこで審査が何らかの理由で通らず、今回再度申し込みをしてきたという形で捉えられてしまい、印象がよくないでしょう。

そのため、5年間は住宅ローンを無闇矢鱈に申し込むことをせず、5年経過することを待ちましょう。

また、この5年間で自分の属性を良くすることに努めましょう。属性とは、住宅ローンを申し込む際に記入する情報で、勤続年数や年収、自己資金などになります。

特に勤続年数は通常でも1年未満の場合、審査に通りにくいとされています。ですので、出来る限り5年間は転職をせず継続して勤めることがよいと思います。また、リスクの面などでも、個人事業主や会社経営者なども通常の状態でも審査に通りにくいようです。ですので自己破産後は、出来る限り早い段階でサラリーマンとして転職を行い、会社に勤めるようにするとよいです。

また、自己資金についても出来るだけ貯蓄出来ていると良いです。これは実際に住宅ローンを組む際の頭金に入れるか否かに関わらず、「貯蓄を行うことができるほど、返済能力にゆとりがある」証明となるからです。ですので、中々大変ではありますが、地道に少しずつでも貯蓄を行っておくと良いです。

更に、これは念の為という程度かもしれませんが、できれば独身でないほうが良いと思います。これは、住宅ローンの必要性の観点となり、独身の場合、今無理に借り入れをしてまで家を購入する必要は無いのではないか?という疑念を与えやすくなるようです。

ちなみに私の場合、住宅ローンを申し込むまでの約6年間は、破産手続き直後に転職を行い約6年半の勤続年数となり、結婚して子供を1人という状況でした。月々の貯蓄も少なくとも数万円ずつ行い、数百万円の自己資金を作ることは行いました。

CICとJICCの記録を照会する

前述までの通り、住宅ローンを申し込んだ際、必ずCICとJICCは照会されます。この情報は、本人であれば照会することが可能です。それぞれ下記のページを参考に自身の信用情報を照会してください。

www.cic.co.jp

www.jicc.co.jp

照会した結果、5年経過後も異動の情報が掲載されている場合は、各信用情報機関に問い合わせを行い、しかるべき手続きを行うことで、削除してもらうことが可能です。

もし、異動が発生した時点から5年経過していなければ、まずは5年経過することを待ちましょう。

クレヒスを作る

CICやJICCの情報には、クレジットカードを作った場合やスマートフォンを分割払いで購入した場合などの情報も全て記録されています。

もしも、あなたの信用情報を照会し、CIC・JICC共に情報が1件も登録されていない場合どうでしょうか?ほとんどの方は、これらの情報を照会した場合、1,2件程度は契約情報が掲載されていることが多いはずです。そのため、何も情報が掲載されていないと、逆に不審に思われることがあります。

そこで、5年経過し個人信用情報機関から異動情報が消えていることを確認したら、自己破産時に使用していなかったクレジットカード会社でクレジットカードを作成するか、スマートフォンなどを分割払いで購入してみましょう。(スマートフォンの購入についても、自己破産時に残債があった場合は別の会社で購入してください)

また、クレジットカードについては作るだけではなく、毎月多少でも利用をし、必ず延滞をしないように支払いを行ってください。

これにより、通常の方と同じような状態を作ることが出来ます。この信用情報の履歴をクレジットヒストリーといい、通称クレヒスと呼ばれています。

ハウスメーカーの担当営業さんには正直に相談

住宅ローンの申し込みを行う際は、ハウスメーカーの担当営業さんを通して申し込む場合が多いかと思います。この場合、担当営業さんには正直に自分の個人信用情報に異動が付いていたことを話たほうが良いです。

基本的にどのハウスメーカーさんでも、少なからず同様の経験をしている方のローン申し込みを扱ったことはありますので、どのような金融機関に申し込めばよいかなど経験から対処をしてくれると思います。また、ハウスメーカーによっては、自社の関連会社が住宅ローンを提供している場合もあり、そのような場合、後述のノンバンク系となる場合もあるため、審査を通しやすくするノウハウを持っている可能性もあります。

返済比率は20%以下に抑える

住宅ローンを借りる際、自分の現在の年収に対し、年間返済額の割合となる返済比率が審査対象の1つになります。

返済比率の条件は金融機関により異なりますが、一般的に30%〜35%を上限としている金融機関が多いようです。

しかしながら、年収の30%もの住宅ローン返済を行うというのは、とても大変なことです。その上、自己破産者のように、返済を予定通り行えなかった経験を持っている以上、無理のない範囲で借り入れる必要があります。

そのため、返済比率は多くても20%以下に抑えるような予算で検討をするとよいでしょう。

ノンバンク系でフラット35を申し込む

住宅ローンを提供する金融機関は、大きく分けると銀行系と非銀行系(ノンバンク)に分かれます。銀行系は○○銀行などと名前に「銀行」が付いている金融機関が主な銀行系です。それに対しノンバンクは、住宅ローンを専門に取り扱う民間企業や、クレジットカードやショッピングローンなどを扱う企業などが挙げられます。

銀行系の場合、KSCの情報も照会するため、10年以上経過していない場合は異動情報が残ったままとなります。

ですが、ノンバンクが主な照会先として使う個人信用情報機関はCICやJICCとなります。そのため、ノンバンク系の場合、異動情報が既に削除された信用情報を参照していることから、自己破産の事実にたどり着きにくくなり、審査に影響が出にくくなります。

また、フラット35はいわば国が保証をしてくれる制度となるため、比較的属性が悪い方(勤続年数が短いなど)でもローンが通りやすいと言われている制度になります。

そのため、ノンバンク系ではフラット35を中心に取り扱っている会社が多いです。

私の場合、ノンバンク系ではARUHIのフラット35を通すことが出来ました。

信用金庫で申し込み

信用金庫はこれまでの説明でもKSCを照会する銀行系の金融機関になります。そのため、私も難しいと思ってダメ元で申し込みをしました。

結果として、変動金利での住宅ローンについて通すことが出来ました。しかも、金利については勤続年数等の要件から優遇処置を受け、その信用金庫が提供している最低金利で借りれる事となりました。

信用金庫は、メガバンクなどと違い、地域密着型の企業であり、比較的審査は通りやすいようです。もちろん、地域密着型ということもあり、自分の購入する土地や勤務先などに関連した地域の信用金庫で申し込むことは必須となります。

今回私が申し込みをした信用金庫は、下記のような関連性を持っていました。

  • 会社の近くに支店がある(その支店で申し込み)
  • 会社の給与振込をその信用金庫から行っている(ある程度会社の信用情報を知り得ている)
  • その支店に口座を作り、給与の一部を毎月貯蓄している(自己資金としての数百万円もここに貯蓄されているもの)
  • 対象物件のエリアも同信用金庫の営業圏内である

 

まとめ

最後にお断りをしておきますと、ここに記載した内容はあくまでも私の経験を基にしたものであり、同様の条件であっても、審査が通ることを保証するものではありませんので、予めご了承ください。

しかしながら、審査に通っている事実があることから、同様の状況で悩んでいる方にとって、少しでも希望の光となっていたら幸いです。

また、自己破産経験者な私に住宅ローンやマイホーム購入について相談したいという方のために、そのような場を設けることにしましたので、是非お気軽にご相談ください。